
「以前、所属していた市民吹奏楽団の備品を整理することになり、新しい機材を導入する資金の一部になればと思って持ち込みました」。難波の店舗に大きな円形のソフトケースを抱えてお越しいただいたお客様は、長年大切に使われてきた楽器への愛着を滲ませながらそうお話しくださいました。打楽器は他の楽器に比べて大型で重量もあるため、持ち運びには苦労されたかと思いますが、その分、プロの目でしっかりと価値を見極めてほしいという切実な願いを受け取り、私も気を引き締めて鑑定に臨みました。
今回お預かりしたのは、教育現場や一般バンドで高い信頼を誇る全音(ZEN-ON)の『コンサート・マーチング・ハイクラス』シンバル、40cm(約16インチ)のペアです。このハイクラスシリーズは、ゼンオンのラインナップの中でも厳選された素材と独自の加工技術が注ぎ込まれたモデルであり、マーチングの屋外演奏でも埋もれない力強いアタック音と、コンサートホールでの繊細な余韻を両立させています。特に40cmというサイズは、オーケストラのダイナミックなフォルテッシモから、マーチングの華やかな視覚効果までカバーできる、現場で最も重宝される規格の一つです。
査定において私が最も注視したのは、シンバルの「センターホールの歪み」と「エッジの微細な欠け(通称:キーホールや割れ)」です。合わせシンバルは、演奏時に互いを打ちつけ合うため、どうしても縁(エッジ)にバリが出たり、歪みが生じたりしやすい楽器です。しかし、今回拝見したお品物は、長年使い込まれていたにもかかわらず、ホール部分は真円を保っており、エッジを指先でなぞっても滑らかそのものでした。また、表面に過度なサビや指紋による酸化も見られず、金属としての適度な粘りと美しい光沢を維持していたため、ハイクラスモデルとしての市場価値を最大限に考慮した高額査定を提示いたしました。
こうした打楽器を所有されている皆様に、鑑定の現場からよくお伝えしている注意点が「手入れの際の研磨剤選び」です。シンバルのくすみが気になり、市販の強力な金属磨き剤で闇雲にこすってしまう方がいらっしゃいますが、これは禁物です。表面に施された繊細なレイジング(音溝)を削り取ってしまい、その楽器が持つ本来の音色や響きを殺してしまうだけでなく、査定額の低下を招くことにも繋がります。普段のお手入れは乾いた柔らかな布で皮脂を拭き取る程度に留め、そのままの状態でお持ちいただくのが、実は最も価値を損なわないポイントとなります。
提示した金額に、お客様は「中古のシンバルがこれほどの評価になるとは思っていませんでした。これで楽団の若いメンバーのために、新しいマレットや消耗品も揃えられそうです!」と、大変喜んでくださいました。私たちは、ピアノやギターのような花形楽器だけでなく、吹奏楽を足元から支えるシンバルのような打楽器の一つひとつに宿る価値を、専門的な視点から誠実に評価いたします。難波近辺で学校備品の整理や、バンド機材の買い替えをご検討中でしたら、ぜひ一度私にその響きを拝見させてください。

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