
「憧れて習い始めたバイオリンでしたが、仕事が忙しくなってしまい、ずっとケースに仕舞ったままにするのが忍びなくて」。難波の店舗を訪れたお客様は、愛おしそうにバイオリンケースを撫でながらそうお話しくださいました。初心者の方にとって、バイオリンは特に手入れのハードルが高く感じられるもの。だからこそ、楽器が健康なうちに次の演奏者へ託したいという、お客様の誠実な想いが伝わってくるご相談でした。拝見したのは、コストパフォーマンスの高さで圧倒的な支持を得ているNicolo Santi(ニコロサンティ)の『NSN60S』、大人用のフルサイズ(4/4)モデルです。このモデルの最大の特徴は、日本を代表する弦楽器マイスター・茂木大輔氏が監修している点にあります。手塗りニスによる美しいアンティーク仕上げは、量産品とは思えないほど奥行きのある表情を見せ、さらに「ナイロン弦」が標準装備されているため、初心者でも扱いやすく、かつ本格的な深い音色を楽しめる、まさにバイオリン入門の王道と呼べる一本です。査定における鑑定の要は、木材の「コンディション」と「パーツのフィッティング」にあります。バイオリンは湿度の影響を極端に受けるため、表板や裏板に肉眼では見えにくい微細なヒビ(割れ)がないか、魂柱が正しい位置に立っているかを厳密に確認しました。今回のお品物は、マイスター監修モデルらしくペグ(糸巻き)の調整も完璧で、調弦が非常にスムーズでした。テールピースや顎当てにも使用感がほとんどなく、購入時の状態を極めて高い水準で維持していたため、付属品の弓やケースを含め、市場価格の限界に挑んだ最高額をご提示いたしました。バイオリンの所有者様に常々お伝えしているのは、弓の保管方法と弦の張力についてです。よくある失敗として、弓の毛を張ったままケースに仕舞ってしまうことがありますが、これは弓の木材を曲げてしまう致命的なダメージに繋がります。また、長期間弾かないからといって全ての弦を完全に緩めてしまうと、表板を支える内部の「魂柱」が倒れてしまい、高額な修理費用が発生することもあります。適切な湿度管理とともに、楽器の構造を理解した保管を心がけることが、将来的な資産価値を守る何よりの近道です。提示した金額に、お客様は「丁寧に見てもらえて、この金額なら納得です。新しい趣味を見つける資金にします」と、晴れやかな笑顔で承諾してくださいました。私たちは、単に中古の楽器を動かしているのではなく、その楽器が奏でるはずだった音楽の続きを、次のオーナー様へと橋渡しする役割を担っています。難波という音楽への熱量が高い街で、皆様が大切にしてきたバイオリンやチェロといった弦楽器を拝見できるのは光栄なことです。もしクローゼットで静かに眠っている楽器がございましたら、ぜひ一度その価値を確かめにいらしてください。一点一点、専門の目でその魅力を正当に評価させていただきます。

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